2.8のジャック

おっさんの独り言

若かりし頃の根性だめし。

高校生の頃、男友達6人で福井の海に行きました。

昼間は海で泳いで遊び、夜は花火と言う高校生らしい旅行をする予定でした。。

が、そんな普通の旅行ではなく、何か楽しい事しようということで、根性だめしをする事になりました。

男子校だったので、日常はどっちが強いかどっちが根性があるかが、高校生活での順位付けになるということもあり、みんな常に自分を大きく見せることに精一杯でした。

尾崎豊ろくでなしブルースの影響が大きいと思いますが。。

話を戻すと、結局、花火で根性だめしをする事になりました。

旅行には、根性だめしの為に全員今持ってる服のお気に入りを着てくるようにと言うルールを決めていました。

内容は、夜の海辺で当時頑張ってバイトで貯めたお金で買った時計や服や靴等をみんな着て集まり、ロケット花火を200本用意し、口の少し大きめのツボの中にドラゴンと言う花火を入れます。

ドラゴンとは筒状の花火で、地面に置いて点火すると、2メートル位火花が吹き上がる花火です。

ツボにドラゴンを入れたらその周りにロケット花火を全部入れて準備万端。

ツボを海辺から20メートルほど離れた所で、水辺に向けて斜めに倒して砂で固定します。そして、海辺ギリギリに自分達が立ち、火をつけます。

飛んでくるロケット花火にビビらず避けるか、怖がって海に飛び込んで逃げるかの2択の根性だめしです。

点火する人間が一人いるので、じゃんけんで勝ったやつ一人は逃げ切りです。あんなに真剣にじゃんけんをしたのは人生で初めてでしょう。

もちろん自分は負け海辺に並びました。

みんな、怖がるのは見せたく無いので、粋がりよく見てたら避けれるとか、俺が盾になってもええぞとか身の程知らずの発言をしていました。

実際にはロケット花火を見た事あっても、自分の方向に飛んでくるのは見たことないので、避けれる程度のスピードだと自分も思っていました。

さぁ、点火の時間です!

じゃんけんに勝った彼はニヤニヤととても嬉しそうにしているのが、月明かりでも確認できました。

点火!! 彼のその言葉から数秒後、ドラゴンが火を吹きました。
どうなるんかな?と思った次の瞬間ロケット花火が物凄い勢いで四方八方飛び出しました!
その一本が自分の顔スレスレを通り過ぎました。。

えっ?!全然早すぎて見えへんし…。避けるどころか、あっと思ったら確実に当たる!!そう思いました。

みんなに負けるのは嫌なので、誰かが海に飛び込んで逃げたのを確認したら、自分も飛び込びこもうと思ったその時。太ももに激痛が。。撃たれた!!そう思いました。

気付いたら海の中に頭まで浸かり、負けを確信しました…。

こんなに早く海に入るとは。。頑張って買った服や時計もビチャビチャです。バイトで怒られた事や、楽しかった事。給料日の事。走馬灯のようによぎりました。

潜りながら、かすかに聞こえるロケット花火の爆発音。
上を見ると、まるでミサイルのように激しい閃光が自分の上を何発も通り過ぎて行きました。

苦しい。。でも、顔を出すと撃たれるかも、

戦争ってこんな感じだったんかなと、おじいちゃんをふと思い出しました。

結局、死にかけた魚のように口をとがらし、必死で息継ぎだけして、激しい戦闘の終わりを待ちました。。

そして、静かになり、終わったぞ〜と点火した友達の声が聞こえ、ビビってすぐにお気に入りの服が駄目になるのを顧みず飛び込んだ自分の情けなさに幻滅し、残りの高校生活は最下位の位置づけをされるのを覚悟して立ち上がりました。。

周りをふと見ると、ケラケラ笑っているのは点火した彼だけ。。あれ?みんなは?

すると、周りからザブンザブンと海から残り四人が出てきました。。みんな、下を向き、戦闘から逃げた自分の情けなさを悔いている感じでした。

ただ、全員が結局海に逃げたという現実が分かった瞬間。安堵の笑みを浮かべ、そら逃げるよな〜とみんなで負けを認め、慰め合いました。

点火した彼に一部始終を聞くと、最初の2〜3
発でほぼ全員同時に海に飛び込んだとのことw


お気に入りの服が駄目になりましたが、ロケット花火は人に向けては駄目だと言うことを体をもって体験しました。。

その後、花火の音で警察が来てこっぴどく怒られました。

もう二度と根性だめしはせんとこ〜と心に決めました。

その時は…。